SHINO ―シノ― シリーズ雑感

SHI‐NO―愛の証明 (富士見ミステリー文庫)
SHI‐NO―天使と悪魔 (富士見ミステリー文庫)
SHINO ―シノ― アリスの子守唄 (富士見ミステリー文庫)
SHINO ―シノ― 黒き魂の少女 (富士見ミステリー文庫)











カチャリ(玄関の鍵を開ける音)




淡い期待も母親の帰宅で崩れ去ったところで、SHINOシリーズ雑感。
あらすじで「純愛系ミステリー」と書いてある。主人公は大学生。もう一人の登場人物、支倉志乃は小学5年生だ。
……言わずもがな。


志乃たんが、可愛い。ここまでダークなヒロインも珍しい。長門より喋るけど、明らかに無口キャラの鋳型にはまらないほどに黒い。ここでいう黒いっていうのは性格が悪いという意味ではなく文字通り黒であり、影であり、闇なのである。こんなに黒いのに可愛いと思ってしまう、不思議な魅力が支倉志乃にはある。……小学生だけど。
内容は、とある自殺サイトを巡って話が進む(1巻)。字面だけ追ってても置いていかれると思う。あんまり触れるのはマナー違反なので書かないけど展開的には複数を絡めていくって感じ。

ただ気になったことは、登場人物全員が小難しい会話をしすぎってこと。志乃ならまだしも人形に怯える小学生が哲学的な論議を交わすってのもどうかと。その辺はキャラの書き分けが微妙だと思った。
あと、観念的というか何というか、哲学的な問い(悪く言えば中二病なんだけど)を煩悶しすぎかなあ。

4巻「愛の証明」が話的には一番楽しめたかな。いわゆる「クローズド・サークル」なんだけど「確実にこの中に犯人が!」って思って推理しながら読んでいくのはやっぱり楽しい。まあ見事に作者にはやられたんだけど(笑)ヘビーなミステリ読者なら簡単にわかっちゃうんだろうなあ。ただラストは不満だった。ええ!?なんだそれって感じ。


1巻は新人らしさが抜けきってなかった感じだけど、だんだんと良くなってきていると思う。6月の新刊は過去編で、程よくほのぼのしてるかなあと予想。もうちょっとラブコメ成分が分泌されていることを願います。
登場人物が少女ばっかなのは気のせいではなかろう。作者の上月雨音とはとてもとてもとても気が合うみたいだ。