戦う司書と世界の力


戦う司書と世界の力 BOOK10 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と世界の力 BOOK10 (スーパーダッシュ文庫)

ネタバレあり。これは今年読んだ小説の中で一番面白い。



途中から涙が止まらなかった。

物語を紡いだ人物が一人、また一人と登場するごとに心が揺さぶられた。ハミュッツの武装司書に寄せる思いに感動した。コリオの死に胸が熱くなった。ルルタの涙に救われた。ミレポックが世界に呼びかける場面で鳥肌が止まらなかった。
この本で、僕は何回泣いたんだろうか。何回絶望に落とされたんだろうか。何回救われたんだろうか。僕は作家じゃないから、この興奮と感動がうまく伝えられないけれど、本当に面白かった!
この作品はかなり捻じ曲がったファンタジーなのかと思っていたけれど、本当はどうしようもないくらい純粋で王道なファンタジーだったんだと思う。
愛と、思いやり。
こんな単純なテーマをこんなに面白く、熱く、感動する物語に仕立て上げたことに驚いた。逆転につぐ逆転。奇跡が奇跡を呼び、常に緊張感溢れるクライマックスの連続。圧倒的な絶望から僕が想像もできなかった突破口から希望を紡ぐ。
一人の作家が作品の理解者がいてくれることを願えば、理解者は作家の次の作品を願う。誰かが誰かを思う。それだけでこの世界を守りたいと思って良いんだと気付かされる。
本当に圧巻でした。どの巻をとっても素晴らしい、傑作という言葉では足りないすごい作品だったと思います。