夢の上3

夢の上3 - 光輝晶・闇輝晶 (C・NOVELSファンタジア)

夢の上3 - 光輝晶・闇輝晶 (C・NOVELSファンタジア)

サマーアの空を覆う神の呪いは砕け散る。天空に広がるは深く抜けるような蒼穹
その中心で輝く黄金の太陽。人々は驚喜した。
しかし。
夢売りと夜の王の元には、まだ二つの彩輝晶「光輝晶」と「闇輝晶」が残されていた――

この物語は「皆の想いを、叶わなかった夢を背負った物語」であった。
それぞれの「夢」を見せるという形で各短編を描き、様々な視点で物語が進んでいく。
ある物語では主役であった人物が、他の短編では名前が出てくる程度であったり、そうかと思えば他の物語では話の軸にしっかりと絡んでくる。このようにして、バラバラであったそれぞれの物語を綺麗にまとめてくるのは見事の一言。
最終巻では幕間に登場する夢売りや夜の王の正体、そして複雑に絡みあった物語の結末が描かれている。
力強く、しかし静かに物語を終えるのも著者の特徴かもしれないですね。
世界観、ストーリー、登場人物、そして緻密に練られた作品構造、どれを取っても文句なし、煌夜祭に匹敵する傑作でした。
読み終えた後に振り返るタイトル「夢の上」は、やはり、感慨深い。