煌夜祭

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)


第2回C★NOVELS大賞受賞作。
この物語の舞台となる十八諸島では毎年、冬至の夜に漂泊の語り部たちが物語を語り合う「煌夜祭」が開かれる。廃墟となった島主の館で、今年もまた二人だけの煌夜祭が始まった――


筆力が新人離れしていた。
世界観の構築も自然に、そして新人にありがちな難解な比喩も特になく、熟練の書き手かと思った。特に作品から生み出される雰囲気というか、独自の世界観は素晴らしいものがある。あとがきにもあるが、筆者は17年間もデビュー出来なかったので熟練なのはあながち間違ってはいないだろうが そのことは信じられないのと同時に、非常に残念に思った。


構成が絶妙。
一つ一つ語られる話も簡潔にまとまっていて良いのだが(個人的には「魔物の告白」が良かった)、これがただの短編集だったら大賞受賞には至らなかったはず。 読み進めていくうちに、もしかしたらこの話は前の話と対応しているんじゃないか、繋がっているんじゃないか、もしかしたらこの語り部は本当はこの話の登場人物なんじゃないか、など読み手に様々な推測をさせる。 そして物語は静かに収束し、終わりを迎える。
決して嫌味にならないこの作りはまさに構成の、書き手の勝利だと思う。
ぬあぁ!おすすめの一冊です。


(自分のamazonレビューより微修正・転載)