〈本の姫〉は謳う


“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)

勢いよりもじっくり読ませてくれるファンタジー。面白かったです。

「滅日」によって大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在――文字。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字を回収するために、本の姫と旅を続けている。ある日、無法者たちから救い出した少女に文字の気配を感じた彼は――。圧倒的な筆力と緻密な世界観を持ち、第二回C★NOVELS大賞受賞作『煌夜祭』で話題騒然の多崎礼が満を持して放つ新シリーズ、堂々開幕!!

煌夜祭を読んで、この人は話の構成と独自の世界観がすごいなあと関心しましたが、この作品も構成こそシンプルですが、世界観はかなり独自で、かつ完成されたもので非常に魅力的でした。当然ファンタジーなんですが、どこかSF的なものを感じたのは僕だけでしょうか。*1

また、今作はキャラクター小説に多少シフトした感じがしました。ひ弱なアンガス。おとぼけジョニー。そしてツンデレ姫の珍道中。いやまあ、珍道中ではないんですが(笑)姫はかなり良いツンデレでした。まあ悪く言えば無難なキャラクター配置なんですが、その辺は話の内容でカバーしてくれてると思います。

『ドラゴンキラーあります』の著者みたいな勢いはやはりありませんが、老成された筆力を存分に楽しませてもらいました。全四巻。過去の話と思われる聖域のエピソードがどこで繋がるのか。姫の過去には何が。そしてアンガスの持つスペルは希望になるか、絶望になるか。この先も目が離せません。
しかし、姫のおっぱいよりすごいのを持つローンテイルさんは・・・(ゴクリ)

*1:例えば精神ネットワークやスタンプ。あるいは自動車(自走車)の存在。