時かけはゲーム的リアリズム?の話


前半は、論法も極めて丁寧でライトノベルなどを体系的に理解できる。また、現代の消費者を「大きな物語の衰退」「動物化」「データベース消費」等の言葉で説明した文章は説得力があり、的を射たと思える内容になっている。まぁ前著を読んだ人は多少退屈かもしれないけど。*1
作品個別の解説もかなり踏み込んでいるので一読して損はない。*2
ただゲーム的リアリズムを提唱してからちょっとおかしくなっている。いや、というよりせっかく読者を誘導してきたのにゲーム的リアリズムという語だけ浮いていた。いやいや、というより個別の作品にこの語を当てはめてはいるものの、最も大切な説得力が弱いのがいけないのかな?かな?*3
上手く説明できないけど、とにかく、今でもこの語、この新リアリズムには否定的です。
これはチラシの裏だけど、小説のようなゲームとしては個人的にFF7辺りが思い浮かぶ。むしろこれは映画的か。

タイトルは釣りってことで勘弁してください。時かけ、面白かったです。


ちなみに、東氏の時かけ感想
http://www.hirokiazuma.com/archives/000239.html

*1:未読

*2:エロゲの部分は、せいぜいひぐらしの名前を聞いたことある程度の私にとってはちょっと厳しかったけど。

*3:類似例は述べているもののラノベで具体的に言及しているのは『All You Need Is Kill』だけ。