円環少女 (5) 魔導師たちの迷宮
円環少女(サークリットガール)〈5〉魔導師たちの迷宮 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 長谷敏司,深遊
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/04
- メディア: 文庫
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魔導師により強奪された核爆弾はテロリストの手に渡り、首都壊滅の危機に。
きづなと瑞希も王子護に連れ去られたままだった。《公館》は総力を挙げてテロを阻止すべく
また仁とメイゼルもテロ阻止、そして二人の奪還のために動く!
重い。重いよ。
今回はけっこうネタバレ感想なので未読の人は注意して下さい。
「おとなは、子どものおしりで元気にならない」
仁は相変わらず、毎回やってくれます。元気にならない・・・っていいのか!?
メイゼルについては敢えて言う必要もないけど一応。
「素敵ね、あたしとせんせ、どんどん距離が近づいてくみたい。このまま行ったら夏休みが終わるころにはどうなっちゃうのかしら?」
「せんせってときどき荷車を引くウマみたいにつらそうな顔するのね。でも、ウマって、背中にご主人様を乗せてムチを入れられてるときが、一番生き生きしてると思うの。せんせも、ムチをもらったウマみたいに、大声ではずかしいこと言いながら汗を飛び散らせてお仕事してるときのほうがステキよ、絶対だわ!」
「あら、こんなふうに写真を撮られるの、はじめてなんだ?びくって、体が止まったわ。嘘じゃないわ。ほら、もう一枚とるから。……そんな顔して、撮られるのがスキなのね?学校では隠してた、そのおすまし顔の裏で渦巻いているもの、さらけ出しちゃいなさい」
注:小学生です。適当な抜粋でこれです。
メイゼルの存在感がすごい。
しばしば、メインヒロインよりサブヒロインに目が行きがちな浮気者ですが、これに限ってはあり得ない。
しかも今回、メイゼルは核騒動にも誘拐事件にもほとんどかかわってこない。
にもかかわらずこんなにメイゼルの占める割合が大きいのは自分が、もしかしたらMなのかもしれない。
うん。ドMだ。
きづなが襲われる場面は心が痛かった。
その後、ちょっとしたことで敵と心が通った後、専任係官に殺されてしまうのは非常にシニカルだった。
記号化され、認識することで、何らかの感情が生まれちゃうんだよね。
でもやっぱり、きづなが襲われた後は、ずっとどこか不安が付きまとってしばらくはメイゼルの会話も楽しめなかった。
学生が受験前に遊んでも心から楽しめないのと似ている感じ、かな。
とてもシリアスだからこそ、日常パートのちょっとしたことで楽しめる円環少女。
今回の結末は読者の予想を上回るものだったと思う。とにかく、次回もメイゼルに虐められたい。徹底的に。
でも、ありがちな手法ではあるけれど、日常パートでにやけているそのすぐ後に谷底に突き落とすなんて、実は長谷敏司が真の≪悪鬼≫なんじゃないかって思う、今日この頃。